〈ベクトラン®〉について
液晶ポリマー繊維〈ベクトラン®〉とは
〈ベクトラン®〉は、鋼の約5倍、アルミニウムの約10倍の強さを誇ります。
さまざまなグレードや繊度を取り揃え、設計や素材選択に新たな可能性を提供します。
以下のグレード展開を行っております。
HT:高強度グレード
NT:高発色グレード
UM:高弾性グレード
特長
- 高強度・高弾性率
- 寸法安定性
- 耐摩耗性
- 耐屈曲性
- 低吸水性
- 耐薬品性
- 低熱膨張率(CTE)
- 電気絶縁性
- 耐切創性
- 振動減衰性
- 耐衝撃性
原料と製法
〈ベクトラン®〉は、液晶ポリマー繊維であり、ユニークな特性を有しています。この独自のファイバーは、熱可塑性液晶ポリマーに関する長年の研究開発から生まれました。
液晶ポリマーは剛直な分子構造を持ち、固体および溶融状態で秩序あるドメインを形成します。溶融状態で異方性を示すことから「液晶ポリマー」という名称が付けられています。
〈ベクトラン®〉は、液晶ポリマーを原料として、溶融紡糸法で製造しており、その過程で分子ドメインがファイバー軸に沿って高精度に配向します。この高度な分子配向こそが、〈ベクトラン®〉の卓越した性能を支える鍵です。
分子構造
一般的なポリエステル繊維は、分子鎖がランダムで柔軟な構造を持っているため、高い引張特性を得るためには、延伸などの後加工を組み合わせて分子を配向させる必要があります。
一方、〈ベクトラン®〉は、液晶ポリマー特有の分子構造により、延伸せずとも高い引張特性を有しています。また、〈ベクトラン®〉はアラミドや超高分子量ポリエチレン(HMPE)といった他の高機能繊維とも製法・特徴が異なります。
〈ベクトラン®〉は、溶融紡糸で製造されますが、アラミド繊維は、溶液紡糸、HMPE繊維は、ゲル紡糸にて製造されます。